小古庵の東北振り返り/ココアン cocoan

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人見知り解消に「にらめっこ」。人類最古のコミュニケーションツール⁈

「にらめっこ」について

にらめっこの「遊び方」については解説不要と思いますが、2人で向かい合って、互いに顔つきを変えて相手を笑わせる昔ながらの遊び……。あれ、説明しようとすると案外むずかしい。知らない人が読んだら、何のこっちゃかもしれませんね。くもんにいくもんの『くもんの学習国語辞典』には、「ふたりが口をきかないでむき合ってにらみ、いろいろな表情をして、相手を先に笑わせたほうを勝ちとする遊び。」と書いてあります。そうそう、「口をきかない」ってところもポイントですね。

 

由来

古くは「目くらべ」と言ったそうで、百科事典によれば、『平家物語』の時代からあるものらしいです。

「《平家物語》長門本には、夢に現れたしゃれこうべと平清盛が目くらべをするように互いににらみあった話があり、《名物六帖》では,中国に〈笑令〉〈無声楽〉という遊びがあり、笙(しょう)、鼓、板などのまねを1人ずつして笑い出したものに罰を与えると説明している。」(世界大百科事典第二版)

大晦日の番組の原点はここに?!    あ、『名物六帖』というのは、江戸中期に編まれた百科事典風の書物だそうです。

 

♪だるまさん、だるまさん、にらめっこしましょ。笑うと負けよ、あっぷっぷ。

というのが、にらめっこに合わせて歌う歌として一般的ですよね。あっぷっぷの最後の「ぷ」の部分で顔を変えます(よね?)。2回戦以降は、♪にらめっこしましょ、までの部分は省いて、「あっぷっぷ」「あっぷっぷ」と顔を変えていきます。場合によっては、最後の「ぷ」「ぷ」「ぷ」だけで顔を変えていくかもしれませんね。

「笑うと負けよ」の部分は、「わろたら負けよ」という地域もあるようです。僧侶で作家の玄侑宗久さんは、「笑っちゃ負けよ」と書かれていました。土地ごと、人ごと、また記憶によって、違いがあるみたいですね。みなさんはどう記憶されていますか?

 

柳田国男の考察

高名な民俗学者柳田國男(やなぎたくにお)は、「にらめっこ」について面白い考察を残しています。少し長くなりますが、引用します。

「今まで友人ばかりの気の置けない生活をしていた者が、始めて逢った人と、目を見合わすということは、実際は勇気の要ることであった。知りたいという念慮は双方にあっても、必ずどちらかの気の弱いほうが伏目になって、見られる人になってしまうのである。通例群の力は一人よりも強く、仲間が多ければ平気で人を見るし、それをまたじろじろと見返すことのできるような、気の強い者も折々はいた。この勇気は意思の力、または練習をもって養うことができたので、古人は目勝(めかち)と称してこれを競技の一つにしていた」(柳田國男『明治大正史世相篇』第五章「故郷異郷」四「世間を見る眼」より)

柳田國男によれば、それがにらめっこの源だというのです。

朝の連ドラなんかでも、都会から引っ越してきたばかりの子ども(後のヒロイン)の前に悪ガキどもがあらわれて、その中の大将格が「おめえはだれだ」とにらみをきかせ、取り巻きが「見ねえ顔でやんすね」なんて言う、定番のシチュエーションがありますよね(って、古いか)。

にらめっこが、いわば人見知り解消のトレーニングになっていたというのは面白いですね。実際のにらめっこは、勝負をつけるにしても、ケンカというより最後はみなで笑い合って、仲良くなるという感じですけど、この仲良くなるってのは想定外の効果だったんですかね。昔は本当に真剣ににらめっこしていたのかも……。